フジパレスシニアコラムページ - 第33話

第33話「幸せはこぶすまいづくり~自分の親を安心して預けられる住まい」


2021年12月、大阪市北区で心療内科クリニックが入るビルで、痛ましい火災事故が発生し、多くの方が犠牲になりました。被疑者死亡で真相は闇の中となりましたが、大変悲しい事件でした。

これまでも大きな被害や犠牲者が出るような火災や事件の後には、全国的に同じような動きがありましたが、この事件の直後から、消防当局による建物の立入点検が始まりました。特に介護施設や児童・養護施設、高齢者住宅については重点的に点検がなされており、当社のフジパレスシニアでも、順次立入点検が行われました。年明けからは、国交省からの通達に基づき、消防署だけでなく、自治体の建築部局の担当者も建物への立入りを含め、安全上の問題がないかの点検が実施されました。


こうした機会には、あらためて危機管理体制、リスクヘッジについては、セルフチェックも大事になります。当社のサ高住は、建築基準法やその他の関係法令の遵守はもちろん、消防法上も非常に高いレベルでの防火設備、運営体制を求められております。居室、廊下、共用スペース等へのスプリンクラーの設置、緊急時の消防署への直通電話、緊急通報装置の設置、上階からの避難に必要なシューターやハッチ等の設備やバルコニーの設置、避難経路の確保、必要に応じて防火区画、防火扉の設置等々、プランニング上は手厚く安全面が担保された設計ですので、ハード面については、安心していただけます。

日々の運営面では、年に2回の消防訓練の実施、役所担当者からは『夜間を想定した避難訓練』も求められております。ただ現実的には、高齢入居者の皆様に、夜間の避難訓練にご協力いただくことは、非常に難しい状況ですので、あくまでも夜間を“想定した形”にはなりますが、しっかりと準備し、シミュレーションしています。

近い将来、非常に高い確率で起こると言われている南海トラフ地震の心配もありますが、昨今の気候変動によるゲリラ豪雨や台風、河川の氾濫、インフラ被害等の事例を鑑みて、自治体は避難管理体制の整備、強化に敏感になっているところでもあります。

そういった中で、当社のフジパレスシニアにおいては、日頃から介護事業者様がしっかりと住宅を守り、入居者様を見守って下さることで、真に安心して過ごしていただける住まい、“自分の親を安心して預けられる住まい”として、ご協力いただけていることに大変感謝しております。

過去の歴史として、自然災害はもとより、予期せぬ事件や事故、火災等についても、『想定外』の状態になったが故に、多くの犠牲を払ってしまった事例は枚挙にいとまがありません。そういった意味でも、これくらいは大丈夫とか、ちょっとした気の緩みが大事故、大惨事に繋がりかねませんので、改めてハード、ソフト両面において、しっかりと住宅の安全性を確認し、大切な入居者様の命をお預かりする住まいとしての責任と自覚を強く持って、末永く安心して住んでいただける住まいづくりに努めてまいりたいと思います。


もう一つ、安全な住まい、しくみや体制を維持していくには人財が必要です。人財育成もサ高住運営には欠かせません。

当社の契約担当者の体験談です。ご契約時にご家族から少しネガティブなお話しがありました。『施設』に入居させることが、親を姥捨て山に捨てるのと同じことにならないかと、かなりモヤモヤされており、高齢者住宅への入居に対して、後ろめたさや躊躇があったのかもしれません。最近はかなり薄れてきましたが、家族、親子の絆が強ければ強いほど、大切な親や家族を『施設』に預けていいのだろうか、見捨ててしまうことにならないかと自問自答される方は少なくありません。

この場面で、ご家族のお考え、お気持ちを丁寧に傾聴した上で、自身の仕事に対する想い、入社してからどんな気持ちの変化があって今の業務に取り組んでいるか、当社がどんな想いで高齢者住宅を運営しているか、フジパレスシニアであれば、どんな生活を送ることができるか、フジパレスシニアであれば、きっと安心してもらえるということを、担当者自身の言葉で優しく丁寧に伝えました。最終的にはご家族も納得し、自分たち (家族)の決断の正しさを確信し、安堵されました。

この対応は非常に素晴らしい、まさしく“神対応”であり、落ち着いて堂々とした振る舞いが自然にできたことは本当に立派だと思います。ちなみにこの担当者は新卒2年目の若い社員です。若い人財が着実に成長している姿を目の当たりにして、本当に頼もしく思います。社歴や業務経験に関係なく、自身の業務に責任と誇り、やりがいをもって懸命に努力する姿勢は本当に素晴らしく、周りの同僚も若い社員に感化され、自分も負けてはいられないと切磋琢磨できる環境、認め合える組織であることもわかり、大変嬉しく思いました。

当社の採用面接でいつもお伝えしていることですが、年齢やキャリア、役割に関係なく、困っている方を救ってあげたり、自分に与えられた目の前の仕事に真摯に取り組むことで、人を感動させたり、勇気づけることが出来る、感謝されることさえあるのが私たちの仕事のやりがいです。若い世代の台頭が10年後、20年後のフジパレスシニアの明るい未来を映し出してくれます。私も若い力に負けないよう、自身の役割を全うして参ります。


これまで、長きにわたる連載をご愛顧下さり、ありがとうございました。これからもフジパレスシニアをよろしくお願い致します。(完)