フジパレスシニアコラムページ - 第32話

第32話「メモリーズ~ プレイバック 2021」


新型コロナウイルスが世界的に蔓延し、日本もコロナ禍で1年以上が経つ2021年、私たちの生活においても大きな打撃を受け、非常にマイナス影響の多い1年だったと思います。


ただ、当初は未知のウイルスと言われていたものが、もちろん今後の変異も気になりますが、症状や症例の分析や解明がなされ、高齢者や基礎疾患がある方を除いて、基本的な対策さえしておけば、そこまで怖くないウイルスであるということも分かってきました。

『百害あって一利なし』という言葉がありますが、百害も千害もあったかも知れませんが、ほんの一利もなかったのか?あえて、コロナ禍での良かった点を考えてみますと、少なくともいくつかはあるなあと思いました。

まずは、私もそうですが、国民全員が健康への意識が非常に高まったと思います。うがい、手洗い、マスク、手指消毒、換気等、基本的な対策をしておけば、過度に心配しすぎる必要はないということもわかってきました。

業務面で振り返ると、急速に変化を遂げたのが、仕事スタイルの変化だと思います。テレワークやリモートでの仕事が普通になり、Zoomの活用やクラウドシステムの活用によって、新たな仕事の進め方が定着してきたことは、大きな進化、プラス面だと思います。

顔を合わせて、長時間になることも多かった会議や打合せも、オンラインのリモートで行う事で、限られた時間内で、効率よく進められたこともあったと思います。もちろん、これまで通りの仕事のやり方では、スムーズに進まない場面も出てきましたので、皆が知恵を絞り、工夫し、新たな対処の仕方を見つけ、業務改善、業務効率のUPにも繋がったのではないかと思います。

高齢者住宅においては、コロナ禍だからこそ、安全への逃避、最大の感染防止策として、さらに入居ニーズが高まってきたという事もあり、非常に忙しい日々が続いています。

おかげさまで、基本的な報連相、業務処理のスピードUP、どうすればできるかといったプラス思考、創意工夫、チームの団結力の向上等を通じて、個々人の成長が見受けられるのは、このコロナの存在があったからだと思います。うまく変化に対応できて、危機管理能力、適応力も相応に向上したかなあと感じています。


2021年10月3日(日)15時45分頃に発生した和歌山市六十谷水管橋の崩落に伴う断水事故対応についても、当社の実力発揮できた一例となりました。

夕方のネットニュースで第一報を知り、和歌山市在住の社員から社内関係者へ22時29分に発信されたメールでリアルな状況を知りました。

近所のスーパーでは水は売切れ状態。約6万世帯で断水の恐れがあるということで、フジパレスシニアにも何らかの影響が出ると思い、翌日早朝に、取り急ぎ、エリア担当者にメールを転送。出社後、あらためて社内関係各位に状況発信。大至急で住宅の状況確認と水の手配に動きましたが、初動としては比較的スピーディーな動きができたと思います。

有事、緊急事態の際に、私が必ず思い出すのが、大阪北部地震の際の相言葉となった『入居者様のことを最優先に。オールフジ、オールアメニティで、最優先で対応に当たる。ピンチをチャンスに変えていく。』 という言葉です。

こうした時の結束力、行動力、スピード感は、当社の強みの一つだと思いますが、お陰様で、事故翌日のお昼過ぎには、断水エリアの5つの住宅へ第一便の水をお届け出来ました。住宅によっては貯水槽があったり、お風呂に水を溜めていたりと、状況は違いましたが、 水は、まさしくライフライン、命をつなぐ重要な要素の一つであり、その供給が断たれると、円滑な住宅運営はもとより、高齢者にとっては生命にも関わってきます。ですから、朝一から、最優先事項として対応していました。

私たちは過去に大阪北部地震や台風被害による停電や断水になった時の教訓があり、本社には移動式発電機や簡易照明、冷風機、扇風機の他、ポリタンクやペットボトル水を備蓄していましたので、まずは備蓄分の配送から始めました。次にポリタンクの追加購入に動きましたが、岸和田周辺は、和歌山からの購入客の影響もあり品薄状態でしたので、大阪支社のメンバーとも調整し、大阪市周辺で調達し、必要分を確保しました。

9日の仮復旧まで丸5日間ありましたが、住宅の状況やご希望に合わせて、臨機応変に対応し、各住宅へ200ℓ以上、5住宅合計で延べ10000ℓ以上の水をお届けでき、入居者様への影響も最小限に抑えられました。岸和田から和歌山まで多い日は一日2往復水を配送してくれたメンバーも本当によく頑張ってくれました。

何よりも、このような緊急事態で、現地スタッフの皆様が懸命に対応して下さっている様子が、当社担当者からの報告からよく分かり、より一層感謝の気持ちが強くなると同時に、このようなスタッフの皆様と一緒に仕事ができていることに大変嬉しく感じました。ある住宅の責任者の方からは、お礼のメールを頂きましたが、少しでもお役に立てたのであれば本当に良かったなあと思います。当社メンバーも通常業務をこなしながらの緊急対応でしたが、皆さん非常に協力的で大変助かりました。復旧後の送水再開の際にも、貯水槽専門業者が現場待機し、大きなトラブルなく水の利用を再開できましたが、この業者の手配も、設備担当チームが先回りして動いて段取りしており、本当に助かりました。

フジパレスシニアの運営開始から10年以上、大阪北部地震や台風被害等の経験を乗り越えてきたからこそ、またウィズコロナの真っ只中だからこそ、今回の断水においても、比較的冷静に、スピーディーに対応することが出来たと思います。私たちがこれまで運営してきた経験をノウハウに転換させ、しっかり活かせたかなあと思います。平常時よりも当社担当者と住宅スタッフの皆様との接点も増え、コミュニケーションを図ることができ、お互いの信頼関係も、より強固になったのではないかと思います。

断水事故そのものは二度と起きて欲しくないですが、このピンチを今後の運営のプラスに変えることは出来たと思います。初期対応から収束までの一連の対応を、ベテラン、中堅、若いメンバーが一体となって経験ができたことは、今後の住宅運営において大きな財産になると思います。


まだコロナの収束もはっきりしていない中で、これからまた台風の季節にもなり、小さな地震は各地で頻繁に発生しておりますので、いつどのような事態になるか全く予測がつきませんが、今できる準備はしっかりと行い、今後に備えます。

いかなる緊急事態になっても、入居者様に安心して過ごして頂ける住まいの提供ができていることに、誇りと自信を持ち、責任の重さも再認識した上で、引き続き、住宅運営に当たって参ります。