フジパレスシニアコラムページ - 第29話

第29話「メモリーズ~ プレイバック 2018」


前回のコラムで、当社の運営スキームについて、述べさせていただきましたが、今回は少し古いですが、コロナ禍のずいぶん前、2018年の出来事を振り返ってみます。

ちょうど2022年6月19日には、石川県で震度5の地震が発生しましたが、くしくも4年前には、大阪府北部で地震が発生しました。


2018年6月18日(月)午前7時58分頃におきた大阪府北部地震。筆者も会社の4階フロアにいましたが、当時、かなり強い揺れがありましたので、すぐにネットで情報を検索したところ、大阪市内から北摂地区を中心にかなり大きな規模の地震であったことが分かりました。その直後からエリア担当者が出社し、まずは各住宅、現地の状況を確認するように指示をしました。ただ、地震直後ということで、携帯電話がほぼつながらず、固定電話もつながらないところが多く、何とか携帯のショートメールを活用しながら、状況確認が出来たような状況でした。

社内では、地震発生直後から、設備・メンテナンス担当チームが手分けして一斉に現地へ出動し、本当に素早い対応でした。当時120棟以上の規模となっていたフジパレスシニアおいては、ほぼ全面的にエレベーターが緊急停止しておりました。その後、南大阪方面の影響が少なかった地域から順次復旧していきましたが、大阪市内や北摂、枚方方面については、夜を徹した作業で復旧までには相当の時間を要しました。

時間の経過とともに被害状況が徐々に把握できましたが、高槻市、茨木市の住宅では電気、ガス、水道が完全にストップしてしまっていることが判明しました。停電は当日の午後には何とか解消し、残るはガスと水ということになりました。社内各担当者とも状況確認しながら、まずはライフラインの確保を最優先に、当社で非常用として用意していたポリ容器に還元水素水(※)を入れて、エリア担当者で手分けして、現地へと搬入しました。また、ガスも止まっていましたので、ホームセンターでカセットコンロを購入し、同じく現地へ搬入しました。特に断水が長引くと言われていた高槻周辺では、自治体の給水車も手配されていましたが、ポリ容器そのものが品薄ということで、追加でポリ容器を購入し、合計で400L以上の水を搬送しました。(※当社で全社的に飲用等している電解水素水のことです。)

入居者向けの食糧については、住宅内で貯蔵されているものがありましたので、すぐに困るということはありませんでしたが、地震翌日には、ケアスタッフが満足に食事も摂れていないという情報もありましたので、現地スタッフ向けにパンやおにぎり、カップラーメン等を持ち込みました。

当日中には、入居者様、スタッフの皆様にケガもなく無事だったことが確認できましたので、少しほっとした気持ちではありましたが、当社の入居者管理担当の入電や設備・メンテ担当の皆さんの現地確認後の情報が増えるにつれ、北摂エリアはもちろん、それ以外のエリアでも、居室トイレの水漏れ、外壁の損傷、館内クロスの割れ等の影響を受けているとの報告がありました。

現地確認と応急措置については、設備・メンテ担当のスタッフが総動員でスピーディに動いたおかげで、住宅の運営に大きな支障があるという状況は脱していました。それでもエレベーターの復旧に時間がかかっているところもあり、夜遅くまで各地を巡回していました。エリア担当スタッフも、エレベーターが復旧していない住宅では、入居者様が食堂へ移動することができませんので、食事の配膳、下膳のお手伝いや入居者様への状況のご案内等、普段とは違う業務ですが、協力して対応していました。

この地震で、まずは入居者様の安全確保を最優先に住宅を守って下さった提携介護事業者の皆様には心から感謝致します。不幸中の幸いで、地震による事故やケガの報告も二次被害の報告もありませんでした。社内的には設備・メンテ担当者、エリア担当も状況確認、救援物資の搬入等で大変迅速に対応してもらえたことについて、心より感謝しています。


同じく2018年9月4日、台風21号の影響で、関西地区は大きな被害が発生しました。全社的にも多くの住宅、工事現場で被害を受けていましたが、フジパレスシニアにおいても、多くの住宅で被害を受けていました。運営中の全124棟のうち、台風通過直後には30ヶ所以上が停電に見舞われました。電柱が倒壊したり、電線が切断されたりしたことが原因で、先の大阪北部地震の影響よりも、はるかに多くの住宅が停電になってしまいました。停電の影響でブースターポンプが作動せず、水道も止まってしまう住宅も多く見受けられました。また、TVアンテナの損傷も多く発生しました。想定外の猛烈な強風により建物・設備が一部損壊、飛散、周辺の住宅・建物等からの飛散物によって当社サ高住が損傷を受ける等の被害もあり、本当に想像を絶する台風の威力でした。

最後に停電が復旧したのは、8日(土)の20時頃で、復旧まで丸4日以上を要し、停電が復旧しても、一部エレベーターの電源が作動しない住宅もあり、これも10日(月)にやっと復旧する等、ライフラインが完全に復旧するまで相当な時間を費やしました。

この間、設備担当者、入居者管理担当者、エリア担当者は各現場に駆けつけたり、電話応対、その他の対応に追われました。特に停電している住宅では、通常の運営が出来ない状況でしたので、 食料や飲料水の確保が十分にできているかどうか、また、入居者様の安全に問題がないかを最優先して、対応を行いました。水が足りないところには、ペットボトル水や相当量の水素水をポリタンクに入れて搬入しました。 また、停電復旧の見通しが立たない住宅には、発電機を持ち込んで電源の確保を行いました。先般の地震の時にも経験していましたが、やはり被害の大きいエリアでは物資が枯渇状態になり、情報も錯綜し、思うように物品の購入も進まない状況でしたが、あちこち駆けずり回りながら、必要物品(水、軽食、経口補水液、懐中電灯等)を確保した上で、各住宅に持ち込みました。ガスは、台風の影響を受けることなく使用できた住宅が多く、これは不幸中の幸いでした。

今回の台風でも入居者様の体調が悪化したとか、スタッフの事故やケガの報告は1件もありませんでした。非常に不安定な状況の中で、自身の身の安全を確保しながら、入居者様を守り、運営を継続した介護スタッフの皆様には本当に感謝をしています。

ある住宅では、飛散物の影響で近隣道路が封鎖され、所轄警察署からその誘導業務の補助を当社スタッフへ要請があったということで、夜通し交替で道路封鎖の為に現場に立ち会った方もいます。そのおかげで、二次災害や副次的な事故等も発生しなかったことは、立ち会った担当スタッフのおかげです。

先般の地震発生時の経験やノウハウが活かされた部分もありましたが、今回の台風被害はその想定をはるかに超え、自然の脅威を思い知らされました。また、発生当初は初期対応に戸惑いがあったことは否めません。


当社では既に200棟7000戸以上のサ高住を運営しています。今後も地震や災害、緊急事態はいつ、どのような形で起きるか分かりません。この経験を活かし、緊急時や災害時の対応力を高め、『自分の親を安心して預けられる住まいは、地震や災害にも強い、安心できるフジパレスシニア』と言えるよう、フジ住宅グループとしての最重要課題の一つとして、自治体及び社内外の関係者の皆様としっかり相談、協力しながら、危機管理体制の強化を進めて参ります。