(まえがき) 普段このコラムは、フジ住宅のシニアハウスサポーターのフジパレスシニアでの出来事や日々の業務を通じて経験した、皆様にどうしてもお伝えしたいお話を中心に執筆しておりますが、今回は、フジパレスシニアの施工管理の担当者からの、普段とはちょっと違う視点でのフジパレスシニアのお話しです。 (本文) 私は現在、フジパレスシニアの建築、施工に関わらせていただいております。 図面通りに、計画通りに、そして納期までに施工を行っていく事は当然なのですが、ずっと意識している事は、「親の介護が自宅ではできない方、他の施設には入れない方々に、ご本人はもちろん、家族にまでも「本当に助かった、本当に良かった」と言っていただける建物」を提供していくという事です。 もちろん、初めからずっとこの想いは持っていましたが、この事をさらに強く意識するようになったのは、私自身に問題が起きてからです。 自分の父親の介護を通じて、父親自身はもちろん、自分も悩み続け、苦しみ、家族も同様に悩み続け、手探りの中で、色んなことを考えてやってきた経験があるからです。 父は91歳、母は89歳、母は、近くに住む兄の奥さんやヘルパーさんにサポートしてもらいながら、大阪市内の実家に住んでいます。父は今フジパレスシニアにお世話になっています。 今でこそ家族全員(父が一番そうだと思いますが)落ち着いていますが、母は、ヘルパーさんの手を借りながら、父のサポートもする、いわゆる「老老介護」の状態で、母が熱中症で体調を崩し、父の世話をする人間が誰もいなくなった時は、今でこそなつかしく、笑って話せますが、当時は全員がパニック状態でした(笑) 何をしていいのか分からない、家族みんなが専門的な知識は何も無い、かといって兄弟全員すぐに父を引き取れる余裕もなく、何とか一時的に、父の担当ケアマネジャーさんの紹介で、泊まれる施設を探してもらい、緊急的に受け入れてもらいましたが、それから先のことが、全く見えない不安と、何もできないイライラとで、家族全員が本当に疲れて切っていました。 週末には、父の様子を見に行くのですが、正直な感想は、ここには長くいさせたくないという思いでした。 大広間では、何十人もが一斉に食事をしたり、個人の意思に関係なく、ゲームをさせられたり、プライバシーも全く無く、一人の静かな時間が好きな父は完全にその環境に萎縮してしまい、会うたびに元気が無くなり、口数も減り、明らかに入所前よりも精神的に疲れていました。 日ごと無口になっていく父を見ながら、必死に他の施設を探したのですが、期間に応じて、料金も加算され、長期的に見れば、とても払いきれる余裕はなく、その一方で、入所期間は一定の期間で制限されており、父には適さない。 その時はちょうど、まだフジ住宅の前職であるゼネコンで高専賃の建築していたのですが、ここまで介護が必要な父には入所は無理、とあきらめて他の施設を探していたのです。 ただ、私より先にフジ住宅に入社していた妻から、「フジ住宅にも高齢者専用賃貸住宅があるから会社で詳しく聞いてみるわ!」と社内でいろいろ働きかけてくれたのがきっかけで、高専賃についても検討を始めました。 『高齢者専用賃貸住宅』は、今は『サービス付き高齢者向け住宅』と名前は変わっていますが、内容を聞くと、当時の父や、我々家族の状況には、本当にぴったりの受入体制でした。 介護が必要でも大丈夫、部屋は完全な個室、24時間専任スタッフが常駐し、見守ってくれている、介護面だけでなく、年齢的なことからくる体調の不安もあった父がこれからの生活を送っていくのには本当に適した環境でした。 なおかつ料金も月々10万円前後と、あまり金銭的には余裕の無かった私たちには、「まるで自分の父親のため」「我々のような家族のため」に作られたように感じました! 現在、縁あり、私もフジ住宅でフジパレスシニアの施工に関わっておりますが、父の入居を通じて、漠然とした想いが使命感に変わりました。 施工への責任は当たり前として、フジパレスシニアと出会う前の自分たちのような家族が、父のような人間が少しでも救われ、「本当に助かった、本当に良かった」と言っていただける建物を提供していく責任があるのです。それが私たちの使命なのです。 あれだけ無口で弱りきっていた父も、今では会いに行くたびに「早くお母ちゃんと一緒に暮らしたい!」と生意気まで言うようになりました(笑) 母も何とかまだ頑張ってくれており、今はまだその必要性はありませんが、もしその時が来れば、必ず叶えてやりたいと思います! (あとがき) 今回のコラムはフジ住宅の建築を担当している者としての目線と家族の介護の問題に直面した両方の目線から、フジパレスシニアに焦点をあてていただいたお話しです。 常日頃、コラム内でもフジパレスシニアの永久不変のコンセプトは「自分の親を安心して預けられる住まい」と言ってきましたが、その思いはシニアハウスサポーターだけでなく、建築に携わる者まで、フジパレスシニアに関与する全ての者が持っている想いです。 今後もこのコラムや様々な場所を通じて、このようなエピソードをお伝えしていきます第10話「これからもフジパレスシニアを建てる事への想い」